前回は入場テーマ曲によってイメチェンが図られることがあるという話をしました。自分の意志で「曲を変えたい」という人もいれば、周囲のスタッフに「変えましょうよ」と進言されて決断するケースもあります。


同じ曲をずっと使い続けるのが良いのか、それとも頻繁に変えるのが良いのか。明確な答えはありませんが、後者の代表格が武藤敬司選手です。



最初の海外遠征から帰ってきた頃はスウェーデンのロックバンド・ヨーロッパのヒット曲「ファイナル・カウントダン」を使い、「闘魂三銃士」の一人として活躍した頃はオリジナル曲の「HOLD OUT」や「TRIUMPH」、スキンヘッドにしてからは「OUTBREAK」に変更、さらに全日本プロレスに移籍後は「TRANS MAGIC」「SYMBOL」などを使ってきました。しかも、武藤選手にはグレート・ムタという“もう一つの顔”もありますから、合わせるとテーマ曲は相当な数に上ります。


あるとき本人に尋ねてみました。「武藤さん、どうしてそんなにテーマ曲変えるんですか?」「曲を変えたらその都度、ファンが買ってくれるじゃん。俺たちプロは、そうやってビジネスするんだよ!」と即答。たしかに、武藤さんは曲を変えてもその都度、自分のモノにしてしまいますし、きっと、どんな曲が来ても負けないキャラクターに自信を持っているのでしょう。


そんな武藤選手の現在のテーマ曲は、若かりし頃に使っていた「HOLD OUT」に再び落ち着きました。40代のファンを中心に根強い人気を誇る曲です。“モデルチェンジの天才”が昔の曲を戻したのは、そんなファンのニーズを汲み取ったのかもしれません。


「HOLD OUT」を作曲した鈴木修さんは、他にも蝶野正洋さんの「FANTASTIC CITY」や橋本真也さんの「爆勝宣言」を作っていますし、元々、テレビ朝日で音響効果の仕事をしていた方です。プロレスのテーマ曲とはどうあるべきかをよくご存知で、他にも数多くのテーマ曲を作ってきました。


入場テーマ曲には、当時の名場面を思い起こさせる不思議な力があります。「シンニチイズム ミュージックフェス」では、鈴木さんが闘魂三銃士の曲を披露してくださることになっていますので、ぜひ彼らが並び立つ姿をぜひ思い浮かべてみてください。