プロレスの入場テーマ曲は他人と同じものを使ってもいいのでしょうか?特にダメだという決まりはありませんが、暗黙の了解と言いますか、他人と同じ曲を選ぶことは原則ありません。ただし、先人へのオマージュとして使ったり、継承したりは例外です。
ひとつ例を挙げましょう。かつて、ブルーザー・ブロディというレスラーがいました。身長は約2メートルの大男で、長髪にヒゲ面。密林からそのまま現れたような風貌でチェーンを振り回す姿は「キングコング」と呼ばれました。新日本プロレスのリングで繰り広げたアントニオ猪木さんとの名勝負は今も語り草になっています。
ブロディがこの世を去ってしまった今、そのファイトスタイルと「キングコング」の異名を受け継いでいるのが、真壁刀義選手です。野性味溢れるファイトスタイル、首に下げるチェーンからキングコング・ニードロップという得意技まで、真壁選手の試合にはブロディからの影響が強く表れています。
さらに、もうひとつ継承しているのが、入場テーマ曲です。真壁選手が現在使用している「IMMIGRANT SONG」は、ブロディも使用していたものです。同じ曲を使うのは敬意の表現と言っていいでしょう。
ブロディがレッド・ツェッペリンのオリジナル曲を使ったのに対し、真壁選手が使用しているのは布袋寅泰さんによるカバーバージョン。真壁選手は「入場はこの曲以外にはありえない」と断言するほどお気に入りです。
さて、「シンニチイズムミュージックフェス」では、この曲をBOWWOWの山本恭司さんが披露してくださることになりました。BOWWOWは日本を代表するハードロックバンドのひとつで、演奏力は海外でも高く評価されています。そのギタリストである山本さんが「IMMIGRANT SONG」をカバーするというのは、ツェッペリンの魅力をよくご存知という意味でもぴったり過ぎる人選です。
レッド・ツェッペリンとブルーザー・ブロディの魂をいかに受け継ぎ、次の世代にも伝えていくのか。当日は真壁選手の入場と山本さんの演奏にブロディの映像も加わると聞いています。音楽とプロレス、それぞれの世界で存在感を放つ先人に向けたオマージュにどうぞご期待ください。
