いよいよ、このコラムも最後になりました。最後は日本で最も有名な入場テーマ曲「炎のファイター」しかないでしょう。言うまでもなく、先月お亡くなりになったアントニオ猪木さんのテーマ曲です。
猪木さんは新日本プロレスの創設者であり、新日本プロレスにおける“入場テーマ曲の元祖”と言ってもいい存在です。
プロレスファンなら誰もが知っている猪木さんのテーマ曲は、元々「アリ・ボンバイエ」というボクシングのモハメド・アリを応援する曲で、1976年に猪木さんと対戦したアリがプレゼントしてくれたという逸話が残っています。テーマ曲ひとつに、こんなスケールの大きな逸話を持っているあたり、やっぱり、猪木さんは並みのレスラーとは違いますよね。
最初は猪木さんも「アリ・ボンバイエ」で入場していましたが、やがて自分の「ファイト!」という声を吹き込んだ「炎のファイター」を作って使うようになりました。曲に出て来る掛け声も「アリ・ボンバイエ」から「イノキ・ボンバイエ」へと変わっています。
猪木さんは、現役中はもちろんのこと、引退してからもリング上で挨拶するとき、テレビやイベントに出演するときなど、必ずこの曲を使っていました。猪木さん亡き後、この曲を継承する選手は出て来るでしょうか?ボクシングでは使っている人はいますが、プロレスでは出てこないような気がします。
さて、今回の「シンニチイズムミュージックフェス」もこの曲をやらないわけにいきません。フェスのフィナーレに用意されているという話を聞きました。
今回のフェスに参加するミュージシャンたちも猪木さんのことが好きな人たちばかりですから、きっと熱のこもった演奏をしてくださるのではないでしょうか。昭和、平成、令和と世代の異なる世代のファンたちが集まる空間で、この曲が会場をひとつにしてくれると期待しています。
以上、私の連載もこの「炎のファイター」をフィナーレにして終了とさせていただきます。ここまでお読みくださってありがとうございました。